
大手の元本毀損0円の実績と審査精度
ソーシャルレンディングの 注意点とリスク

ソーシャルレンディングの利用規約には必ず「損失の発生する可能性がある」と記載されています。
事業やファンドへ貸付を行い、事業計画に基づいて収益をあげ、利息のような形で分配金支払いが行われる仕組みです。
一部では、計画通りに運用をできず分配金の支払いや元本の償還が滞ってしまうケースがあります。
また、ソーシャルレンディングは一般的な投資商品とは違い、資金提供を受ける側も事前に提示した期間に基づいて運用しているので中途解約できないデメリットがあります。
ソーシャルレンディングを利用する際は注意点を認識して、少しでも安全な運用をできるように慎重な投資を行ってください。
一番重要なのは業者選び
ソーシャルレンディングで元本の償還されない損失や分配金の返済遅延が起こるのは投資したファンドの問題です。
しかし、投資する際に公開されるファンドの情報は限られていて、信用できるファンドなのか判断する材料がありません。
仮に事業計画書を公開されていても、素人はリスクの有無や事業の安定性を判断するのは困難です。
ソーシャルレンディング業者は無差別にファンドを掲載しているのではなく、厳正な審査を行って信頼できるファンドのみを掲載しています。
フィンテック技術の普及で、歴史の浅いソーシャルレンディング業者でも大手金融機関と同等の審査が可能な時代になっています。
優良業者の扱っているファンドは信頼性が高く、投資先が事業に失敗して損失の発生するリスクは非常に低いです。
オーナーズブックの場合は元本毀損0円の実績を持っていますし、返済遅延などトラブルの起こしたことがあるファンドは、特定のソーシャルレンディング業者に限定しています。
利回りの高い案件や事業内容に魅力を感じても、実績の少ないソーシャルレンディング業者は慎重に検討して、少額運用に抑えましょう。
ソーシャルレンディングは分散投資することが大切ですが、複数のファンドへ分散投資することよりも、複数のソーシャルレンディング業者に分散投資することの方が重要です。
運用資金をめぐるトラブルや悪評のない実績豊富な大手は資金分配の比率を高めにして、小規模業者は少額運用に抑えると良いです。
不適切な運営をしているソーシャルレンディング業者だけを使うと、複数のファンドに分散投資しても軒並み貸し倒れを起こして大損する危険性があります。

信用で投資するしかない現状
ソーシャルレンディングは業者の審査や管理体制、ファンドの計画性など利用者(投資家)に開示される情報が少ないです。
大半は平凡な会社員の副業投資家なので、情報開示されたとして判断できないことが多いです。
しかし、過去のトラブルや行政処分を受けた業者の事例を見ると、担保を入れていると言って実は担保や保全をしていないなど、大きな問題があります。
「みんなのクレジット」が行政処分を受けた事例では、複数の不動産会社へ投資すると言って資金を集めて、実際には自社やグループ会社へ貸付していたことで問題になりました。
つまり、トラブルになった事例を見ると、最初から嘘を付いているなど詐欺まがいの悪質な運用をしているケースが多いのです。
悪質な事例が発生する要因は、行政当局の指導で投資家に対して貸付先の匿名化が必須になっていることが関係しています。
日本では貸金業法によって認可を受けていない個人が企業を相手に貸付する行為はできません。
投資先のファンドがどこの企業なのか明記していたら、貸金業法違反になる可能性があります。
そこで、あくまでも投資という商品性を出すために、投資先の匿名化を義務付けて、ファンドの業種など最低限の情報開示のみで資金提供を募っています。
「みんなのクレジット」が行政処分を受けたのは2017年3月のことで、再び匿名化の賛否について議論をされるようになってきました。
ソーシャルレンディング業者からも匿名化を廃止した方がいいという意見も出ていて、将来的には法整備が進んで、ルールが変わっていくかもしれません。
法律のルールがしっかり確立されていないのがソーシャルレンディングの問題点です。
現時点では、審査を行い確実なリターンを期待できるファンドのみを扱って、適切な管理体制を取っているとソーシャルレンディング業者を信用して投資するしかないのが現状です。
元本保証付きのファンドに注意
ソーシャルレンディングは一部で担保や運用資金の保全を行っていますが、元本を全額保証されるものではありません。
投資先の事業がうまく行かず、焦げ付いたりデフォルトを起こせば返済遅延が起こります。
完全なデフォルトになれば担保で回収することになりますが、担保によって元本を全額回収するのは困難です。
また、ソーシャルレンディングは担保なしの案件も多数あります。
マイナーなソーシャルレンディング業者では、元本を100%保証するファンドを用意しています。
仕組みは保証会社を利用して、もしファンドが貸し倒れを起こしたら保証会社が弁済してくれる仕組みです。
保証会社を噛ませる手法は、銀行や消費者金融でもよく見られますが、現在元本保証を行っている業者やファンドは、実績のない保証会社を使っています。
もし、貸し倒れが相次いだ場合は資金力がなくて流動性を持っていない小規模の保証会社もデフォルトして回収が困難になるでしょう。
実績と資金力のある大手保証会社が元本保証してくれれば魅力的ですが、大手保証会社の元本保証付きになると利回りが大幅に下がってしまいます。
大手ソーシャルレンディング業者なら貸し倒れや返済遅延、元本毀損の起こる確率が低いので、ソーシャルレンディング歴5年以上の私の意見としては今の審査精度と利回りを維持してくれれば、今後も投資していく価値を大いに感じます。
予定よりも早く終了になるケースも
ソーシャルレンディングへの投資は、事前にファンドの運用期間が決まっています。
一般的な元本一括の場合、満期になると元本償還を一括で行われ、運用期間中は利回りに応じた配当が毎月支払われます。
当初の予定通りに満期を迎えて元本償還されることを「満期償還」と呼びます。
一部では、満期前に繰り上げ返済を行われて、元本償還を行われる「早期償還」になるケースもあります。
満期償還や早期償還のルールは、あなたがローンを組んでお金を借りた時のことを考えれば分かりやすいです。
たとえば車を60回払いのローンで買ったとします。その後金銭的余裕ができて、利息を節約したいと思い一括返済を希望すればローン会社は対応してくれます。
借り手から一括返済を希望することはできても、貸し手から「お金が必要だからローンの途中だけど一括で返して欲しい」と言われたら困りますよね。
ソーシャルレンディングは基本的に投資家都合の中途解約はできません。
つまり、ソーシャルレンディングで予定より早く終了になるケースはファンド側の都合に限定されています。
ソーシャルレンディングに投資することは、銀行、信販会社、消費者金融などの貸し手と同じ立場になると思ってもらえれば分かり易いです。
早期償還になる理由は主に次のとおりです。
予定より早くプロジェクトを達成した
他の低金利で借入できるところへ借り換えをした
他の事業が成功してファンドに一括返済する資金ができた
早期償還をされると当初の予定よりも配当金が減少してしまいますが、元本が返ってきて運用期間中の配当も受け取れます。
全力投資をして流動性のある資金がなくなった場合でも、早期償還されてからすぐに新しいファンドへ投資できるように情報収集を怠らないようにしましょう。
おわりに
ソーシャルレンディングの注意点とリスクを見ると、グレーな部分もある危ない投資商品に見えてしまうかもしれません。
一部の悪質業者の不祥事でニュースになる事例もありますが、長年健全な運営を続けている大手も多数あります。
安全性の高い大手を中心に分散投資すれば、大損する可能性は低いです。
ノーリスクではありませんが、ポイントを理解して運用すれば利回りに見合ったリターンのある投資商品です。