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利益を生む仕組みと低リスクの秘密

株・投資信託・仮想通貨など他の投資商品との違いを理解すると仕組みが分かり易いでしょう。不動産ファンド・不動産投資・リートは一見同様に見えてもメリット・デメリットは大きく異なります。

ソーシャルレンディングの仕組み

ソーシャルレンディングは、資金を調達したい借り手(企業やファンド)と、資金運用したい個人投資家をソーシャルレンディング運営会社がマッチングさせるサービスです。
出資者は一旦ソーシャルレンディング運営会社の専用口座に資金を預け、そこから任意の案件(ファンド)へ投資し、配当を受け取ります。

ソーシャルレンディング口座は証券口座の扱いではありませんが、金融商品取引法に則り運営されているため、お金の流れは株・FX等のネット証券会社と同様のフローとなります。

個人から資金調達するメリット

ソーシャルレンディングとビジネスローンの違い

ソーシャルレンディングの金利はノンバンク(ビジネスローン)に比べれば低いものの、銀行融資に対しては高利と言わざるを得ません。

しかし、銀行や日本政策金融公庫には"厳しい審査"と"膨大で面倒な手続き"というボトルネックが存在するため、与信枠に限りのある中小企業やスピードを重視するプロジェクトではソーシャルレンディングの様な柔軟な資金調達手法が重宝されているのです。

ソーシャルレンディング業者の持つ2つの顔

ソーシャルレンディング業者は借り手に対して、貸金業法に則って融資を行います。
そして個人投資家から金融商品取引法に則って資金調達を行います。

従来のノンバンクを利用した資金調達方法

ノンバンクでまとまった資金調達をしようとした場合、ノンバンクの自己資金では対処できないので金主となる金融機関から借入を行い対処することが多いです。
そのためビジネスローンの金利は最大15%前後と高額になるのです。

金融機関貸金業者(ノンバンク)借り手

このようにお金が流れているので中間コストが高いデメリットもあります。
貸金業者、金融機関ではそれぞれ人件費や店舗運営費、設備費用がかかります。
金融機関を利用せず保証会社を利用するケースもありますが、高額な保証料を取られるので状況はあまり変わりません。

ソーシャルレンディングによる資金調達

複数の個人ソーシャルレンディング事業者借り手

従来は金融機関を通じて資金が動いていた所を個人にしたものがソーシャルレンディングです。
ソーシャルレンディング業者は1~2%前後の手数料を取っており、利回り12%の案件だった場合、借り手は14%前後の金利で契約しています。
個人とソーシャルレンディング事業者がそれぞれ利益を得ることになりますが、インターネットの活用によって運営コストを大幅にカットしています。
ソーシャルレンディング事業者は自己資金を用意せずに低コストで運用できるので安い手数料での運営を可能にし、借り手にとってもメリットのある条件を提示しています。

3者すべてがWinWinの関係
投資家 毎月配当をもらえる
銀行に預けるより高利回り
ソーシャルレンディング業者が審査した案件なので貸し倒れリスクが低い
ソーシャルレンディング業者 インターネットの活用で運営コストが安い
手数料収入を得られる
フィンテック技術の恩恵で金融機関並みの審査が可能
ネットを活用して個人から資金調達可能
借り手(企業・ファンド) 消費者金融のビジネスローンより低金利
手続きがスムーズ
まとまった資金調達が可能

有価証券ではない

個人の「出資」を可能にするソーシャルレンディングの仕組み

ソーシャルレンディングは株や投資信託のような有価証券ではありません。
形式的にはソーシャルレンディング事業者に投資をする形をとりますが、中身は借り手への直接的な貸付に近いです。
貸し倒れリスクは個人が背負わないといけないですが、売却する際は他の投資家に譲渡する有価証券とは違い、基本的に中途解約なしで定められた期間で完結します。
身近な例に置き換えれば「3年ローンで車を買ったのに、貸し手都合で契約を途中解除し、一括弁済を請求される」ようなもので原則途中解約はありえません。
これと同じで、借り手は期間と金利に応じて毎月返済を続けていく条件でソーシャルレンディング業者を通じて借入を行っています。

有価証券は、現在の価値ではなく将来の価値が価格に影響します。
直近の決算(売上や利益)に問題がなくても、日本および世界の経済全体が不安定になれば、有価証券の価値は下がって売却時に損をします。
ソーシャルレンディングは経済の影響を受けにくく、投資した案件が定められた期間内に問題なく返済を続けてくれれば確実に利益が出ます。

貸し倒れリスクがあるものの、借り手はソーシャルレンディングから借入の形を取っているので、万一返せなくなると信用情報機関に事故情報として登録されます。
また、ソーシャルレンディング業者は個人投資家からの信用で成り立っているので、リスクの高い案件を紹介しないように厳しい審査を行っています。
有価証券をはじめ数ある投資商品の中でもリスクは非常に低いです。
低リスクの反面、株、FX、仮想通貨のように値動きによるキャピタルゲイン(売却益)はありません。

優待や特典を用意していることも

ソーシャルレンディング業者がキャンペーンとして特典を用意しているケースと、ファンド(借り手)が優待を提供する2つのパターンがあります。
ソーシャルレンディングで一番重要なのは、お金を出す個人投資家(会員)を集めることです。
そこで、会員獲得や実際に運用してもらう取り組みとして、ソーシャルレンディング業者の利益の中から、キャッシュバック、QUOカードや仮想通貨のプレゼントといった特典を用意することがあります。

また、数は少ないですが宿泊施設の再生ファンドなど、一定額以上の投資をした場合はクラウドファインティングのように、宿泊券や特別割引といった優待、特典を用意していることがあります。
もちろん、ソーシャルレンディングの根本は運用で、クラウドファンティングの寄付とは本質が異なるため、利回りに応じた配当がメインで、優待・特典はあくまでもオマケです。

個人が束になることで好条件を実現

投資経験のある人は、資金力が高いほど有利なことが多いお金の特性を実感しているはずです。
株、FX、仮想通貨などオンラインによる売買を繰り返す相対取引の場合は、資金力があればリスクの低い手法を取れますし、分散投資をするなどリスクヘッジの方法が増えます。
不動産投資であれば、安いけど古くて立地の悪い物件よりも、都内の一等地にある新築物件の方が空室、設備故障、将来の価値下落などあらゆるリスクが低いですが、取得費用がネックになります。

ソーシャルレンディングは個人が束になって、大きな金額にして貸付をするので、好条件での運用が可能になります。
原理的には投資信託に似ていますが、集めたお金を株などに投資して運用するのではなく、資金調達できれば儲かるビジネスプランを持つ企業やファンドに貸付をするので、低リスクで含み損を抱えるリスクの少ないメリットがあります。
また、毎月配当をもらいながら一定期間で完結するので、自分のペースで追加投資ができ、お金がどんどん好循環でまわっていきます。

他の投資との違い

個人投資家に人気の投資との違いをまとめました。

リスク リターン メリット デメリット 向いている人
ソーシャルレンディング 利回り固定
自分のペースで追加投資できる
投資後は放置でOK
税制面が不利 サラリーマンの副業
不動産投資 資産形成できる
税金対策できる
空室、設備故障による損失リスク
物件価値の下落リスク
長期運用&借金による運用
物件取得時の手間が大きい
サラリーマンの副業
過剰資産の運用(借金なしで取得できる方)
不動産に詳しい方
仮想通貨 うまくいけば億万長者可能
仮想通貨が普及すれば全銘柄高騰のチャンス
値動きの変動が大きい
規制や法整備の懸念がある
株・FX等の投資経験豊富な方
一攫千金を目指したい方
毎日相場やニュースをチェック出来る人
株式 配当・優待がある
総合課税口座で確定申告不要
ファンダメンタル分析の余地が大きい
キャピタルロス(売却損)リスクがある
権利日、決算、四季報などチェックする項目が多い
勉強する必要性が高い
平日の日中しか取引されていない
長期運用
経済に詳しい方
専業投資家
FX 少額から始められる
複利運用で大きな利益を出せる
チャートさえ覚えれば勝てる
軍資金以上の損失を出すことがある
短期的に大きな損失を出すことがある
値動きが激しいので冷静を保つメンタル力が必要
夜間に取引したい方
短期売買をしたい方
専業投資家(目指したい方含む)
投資信託 プロが運用するのでリスクが低い
リスクや投資ジャンルなど多彩な商品がある
マイナス利回りになることがある
一度始めると解約しにくい
手数料が高いので、大きな利益を出しにくい
サラリーマンの資産運用
リート 有価証券の中では値動きが穏やか
10年チャートで上昇トレンド
キャピタルロス(売却損)リスクがある
10年チャートが頭打ちを懸念される形
サラリーマンの副業
長期投資したい方
不動産業界の動向に詳しい方
積立NISA 税制面が有利
少額から始められる
継続すると大きな資産になる
キャピタルロス(売却損)リスクがある
決算や業界動向を見ずに追加投資を続けるのは非効率
サラリーマンの資産運用
ベンチャーキャピタル 投資先が上場すれば莫大な利益が出る 出資なので事業が失敗すると大損する 専門のファンド
不動産投資

ソーシャルレンディングでも不動産投資ファンドの人気が高く不動産投資と共通点が多いです。
不動産投資は個人で物件選定から運用まで全て行うのに対してソーシャルレンディングはファンド(プロ)に全て任せるので、安定した高利回りを得て空室などの損失リスクと契約の手間がありません。
短期完結、少額投資可能などメリットは多いですが、不動産投資のように経費による税金対策や不動産による資産形成はできません。

仮想通貨

フィンテックと呼ばれる分野では共通ですが、現時点での仮想通貨は今後普及することを期待した先行投資が主流です。
ソーシャルレンディングは目先で堅実に利益を出せるものに投資します。仮想通貨はハイリスクハイリターンでソーシャルレンディングと真逆の性質を持ちます。

株式

株は配当や優待をもらって長期運用したり、デイトレードで細かい売買を繰り返すなど幅広い手法があります。
株は短期、長期を問わず、常時価格が変動しているので売却益もしくは売却損が出ます。
初心者が配当や優待狙いで投資すると損失を出すことも多く、株で稼ぐのは幅広い知識と経験が必要です。
ソーシャルレンディングは、相対取引ではなく売却による損益が出ないことと、経済情勢の影響を受けにくいことが株式との大きな違いです。

FX

FXは値動きの少ない現物通貨(円やドル、ユーロなど)に対して、レバレッジをかけた信用取引で大きな利益を目指す投資商品です。
相対取引の中でもレバレッジが大きい分だけハイリスクハイリターンの投資商品です。
通貨や発行国の価値(ファンダメンタル)での投資判断ではなく、値動きだけを見て投資するテクニカル手法の重要性が高いです。

投資信託

個人からお金を集めてファンドが運用する点ではソーシャルレンディングと同じです。
投資信託は株や国債など有価証券への投資が中心。ソーシャルレンディングはファンドに運用を任せるのではなくファンドに対して貸付をします。
事前に配当が決まっているのがソーシャルレンディング。運用してみないと利回りが分からないのが投資信託です。

リート

不動産ファンドの投資信託と特性は似ていますが、リートは上場していて相対取引が可能です。
原資の変動がない分、ソーシャルレンディングの方がリスクは少なく、経済の影響も受けにくいです。
リートの中身は不動産投資ですが、有価証券に分類されてソーシャルレンディングとは特性が大きく異なります。

積立NISA

毎月決めた金額でNISAを利用した株式を取得していく商品です。
少しずつ株のポジションが増えていきます。その後は値動きや配当などで利益を出す点で株式と同じです。
NISAは年間40万円までの投資であれば利益も非課税なので、税制面が有利な投資商品で積立式との相性が良いです。

ベンチャーキャピタル

個人向け投資商品ではないですが、番外編として紹介します。
ベンチャーキャピタルは主にファンドがこれから上場しそうな企業へ出資をして、上場してから株を売って売却益で利益を出すのが目的です。
ソーシャルレンディングは出資ではなく貸付という形を取っています。
ベンチャーキャピタルの個人版がソーシャルレンディングと勘違いする人がいますが、借り手への資金提供の方法がベンチャーキャッピタルと異なります。