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担保評価だけではなく事業の本質を見極める

事業者が銀行の不動産担保ローンではなくソーシャルレンディングから借入をするのは、スピードや初期費用の恩恵があるからです。平均利回りより高いファンドはリスクが高いので慎重な投資判断をしましょう。

担保評価と事業の本質を見極める

ソーシャルレンディングと不動産担保ローン

不動産担保ローンは金融機関でも扱う定番の事業資金調達法です。
名称の通り不動産を担保に入れて、貸し倒れが起こった際には担保を差し押さえして回収するルールになっています。
担保なしより低リスクなのは間違いありませんが、担保ありだからといって手堅い案件とは限りません。
担保評価と事業内容を見極めて慎重に判断しないといけません。

不動産担保ローンの2つのパターン

不動産担保ローンは大きく分けて以下の2つのパターンに分類されます。

土地を取得して整地や建造物を建てて開発したのちに売却する
不動産保有者の事業資金調達による担保ローン

新規に短期的な売却を視野に入れて取得する開発向けの不動産担保ローンは、抵当権第1順位になっていることが多く、売却すれば元本回収できるので手堅い案件です。
予定通りの期間に売却できなかった場合は、ファンドの再募集をして借り換えをするケースが多いです。
状況に応じて運用期間が大幅に短縮して元本償還されることもありますが、元本割れのリスクが非常に低いです。

事業資金としての不動産担保ローンは、すでに金融機関からの借入をしていて、抵当権の付いているケースが多いです。
抵当権第2順位の場合、担保があっても事業が失敗した時に差し押さえできる部分がほとんどないケースもあります。

抵当権順位の必要性

不動産担保は抵当権順位に応じて差し押さえできる部分が変わってきます。
たとえば、評価額3億円の不動産を抵当権第2順位で担保に入っている場合、抵当権第1順位の借入先のローン残債が重要です。
もし、抵当権第1順位の残債が3億円以上になっていた場合、抵当権第2順位に設定していても、差し押さえで回収できる部分が一切ありません。

抵当権第1順位の残債が1億円だった場合、抵当権第2順位で担保設定したソーシャルレンディングのファンドは2億円の回収余地があることを意味しています。
抵当権順位を公表していても、抵当権第2順位の中で差し押さえできる評価額の見込みを公表していないファンドがあります。
担保の詳細を明確に開示していて、評価額の高いファンドを選定すれば安心です。

事業の本質を見極める

不動産担保はあるけど評価額が低い。もしくは不透明な場合でも事業の本質が良ければ投資する価値があります。
担保設定自体のないファンドも多数あるくらいなので、担保の内容が悪いだけで投資を見送るのはもったいないです。
評価額の高い担保があれば事業に失敗した時に回収できる余地は大きいですが、そもそも事業に失敗すると返済や元本償還の遅延が起こりますし、差し押さえした担保の売却額によっては元本毀損(損失)が発生します。

担保なしや担保評価が低い(不透明)なファンドでも事業の内容が良ければ投資する価値があるファンドです。
抵当権第2順位で評価額が非常に低い内容でも、債務者から見れば事業に失敗すると担保を根こそぎ持っていかれるので相応のリスクを背負っています。
担保なしに比べれば、評価額や抵当権順位はどうあれ担保設定していることに意味があります。

業者の見極めが重要

不動産担保ローンでは、過去に不適切運用によって大きな支払い遅延の起こった事例があります。
有名なのは、みんなのクレジットとラッキーバンクです。
両社はいずれも不動産担保を設定するも、正当性のない評価をしたり、ファンド募集で明記していた担保を設定していないなど、当初から悪意のある運営をしていました。

担保設定ありのファンドは信頼を得られやすいことや、ソーシャルレンディングは担保の詳細や運用状況を全て開示する義務のないことで起こった不正です。
過去の事例を見ると、不動産担保ローンは担保なしのファンドに比べても不適切運営によるトラブル事例が多いです。
優良業者を見極めて、実績の少ない業者への投資は慎重に判断しましょう。
利回り10%を超えるファンドになると、不動産担保の内容を問わず相応のリスクがあります。

9%超えのファンドは慎重に判断

高利回り案件でトラブルに見舞われた男性

不動産担保ローンで不適切運営によってトラブルに発展したケースは、ソーシャルレンディング会社の扱うファンド全体の平均利回りが高い共通点がありました。
不動産担保ローンは大手金融機関でも取り扱いがあり、担保評価が高ければ審査に通りやすいです。
ファンド(借手側)が金融機関ではなくソーシャルレンディングから借入を行う理由はスピードとコストです。
銀行の方が全般的に金利は安いですが、初期費用がソーシャルレンディングより高いので短期的な借入は総コストの高く付くケースがあります。
銀行融資は審査や契約手続きに時間がかかるのもデメリットです。

金利に大きな違いがなければスピーディーで初期費用の安いソーシャルレンディングを使うメリットが大きいです。
いくらスピーディーに対応してくれても高金利で総コストが高ければ慎重に判断するものです。
ソーシャルレンディングの不動産担保ローンの平均利回りは4~8%ほどです。
平均利回りよりも高いファンドは何かしらの不安材料を持っていて、銀行からの借入が困難なケースが多いです。

高利回りで安定した運用を続けているソーシャルレンディング会社もありますが、利回り9%超えを目安に高利回りの不動産担保ローンは慎重に投資判断をしてください。
私も一部で高利回りファンドに投資していますが、運用額の比率を高くなりすぎないように配慮しています。