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運営事業者が借り手と元役員相手に訴訟

安定した元本償還で人気を高めていた優良業者のTrustLendingは、2018年12月と2019年の2月に立て続けの行政処分を受けました。1回目の行政処分以降は分配金の支払いを続けていましたが、虚偽の表示で募集したファンドは回収が難航しています。

公共事業に強いトラストレンディング

トラストレンディングのスクリーンショット画像
商標名
トラストレンディング(TrustLending)
運営会社
AI株式会社(旧エーアイトラスト株式会社)
会社設立
2005年6月
サービス開始
2016年11月
資本金
100,000,000円
累計応募額
83億円以上(2019年2月現在)
会員数
非公開
平均利回り
6.0~11.5%
主要案件
公共事業、不動産担保ローン
最低単価
10万円~

クリック合戦必至の人気業者

2019年3月8日に、虚偽内容で存在しない事業への募集を行ったことから第二種金融商品取引業者の登録取消および業務改善命令の行政処分を受けました。
今後は新規会員および新規ファンドの募集を行わず、既存ファンドの回収に注力することを発表しました。
当サイトの見解はページ下部をご覧ください。

当社に対する行政処分の内容と今後の対応について
https://www.trust-lending.net/topics/2019/2019030801.pdf

トラストレンディングはソーシャルレンディング会社の中で唯一公共事業関連のファンドを扱っています。
財務省出身者が3名いて、独自のネットワークによってファンドの開拓を行っています。
多くのファンドで担保が付いていて、受注の決まっている公共事業のつなぎ融資として資金調達する使途が投資家から好感されています。
高利回りのファンドが多く、安定した元本償還を繰り返したことで、毎回新規ファンド募集をすると、早々に満額成立する人気業者です。

これまで募集したファンドの一例

道路建設(新東名高速道路など)

主なファンド:債権担保付ローンファンド105~128号など
内容:公共事業受注に伴う工事準備費用、当該協力企業へ先払いする工事準備費用などの調達

原発事故関連(除染作業)

主なファンド:債権担保付ローンファンド143~146号
内容:原発事故被災地域においてヘリコプターにて空から汚染物質吸着剤を大量に散布するプロジェクト発足費用

公共事業IoT事業

主なファンド:債権担保付ローンファンド105~128号など
内容:IoT関連の通信インフラ基地局、基地局設置場所で役所を使ったり、官公庁からの受注も見込まれることから公共事業IoTに分類

大型船舶建造

主なファンド:船舶担保付ローンファンドシリーズ
内容:公共事業で使われる船舶建造の事業資金、運転資金など

公共工事現場や輸送会社などへの燃料供給

主なファンド:燃料卸売事業者ローンファンドシリーズ
内容:燃料の商流に卸売業者として参入する事業立ち上げ費用の借入

不動産事業

主なファンド:不動産担保付事業者ローン
内容:不動産会社の不動産取得・建設 → 売却による取得資金の調達

債権担保付事業者ローン

主なファンド:債権担保付事業者ローンなど
内容:金銭債権を担保にした事業資金の貸し付けなど

※トラストレンディングは公共事業が有名ですが、事業によっては間接的に公共事業へ携わる事業や、公共事業と一切関係ない不動産開発や事業資金の貸し付けも行っています。
ファンドごとの詳細をしっかり確認しておきましょう。

行政処分を受けて新規ファンド募集停止中

トラストレンディングは、既に受注が決まっていた大手企業と業務提携したことなどに対して一部で虚偽の表記をしたファンド募集を行ったことが明らかになり、2018年12月14日に行政処分を受けました。
当初は、行政処分を受けた後も分配金の支払いを継続していましたが、2019年2月に調査の結果、高速道路建設事業や除染事業の一部で実態がない事業への投資をしていたことが明らかになり2回目の行政処分を受けました。
元財務相で、長年トラストレンディングに公共事業の融資案件を紹介(仲介)していた、Y氏(その後トラストレンディングの取締役→不正発覚で辞任)が、悪意のある詐欺行為をしていることが判明しました。

ファンドで集めた資金は融資実行後に、Y氏の支配する会社に振り込まれていたことが確認され、トラストレンディングやY氏および関連会社に対して一括返済の請求と損害賠償請求を起こす訴訟をすると発表しました。
関連ファンドについては、訴訟手続きに伴い支払いが停止する可能性が高い旨を投資家に向けてアナウンスしました。

運営事業者のエーアイトラストは貸付先に対して訴訟を起こしましたが、貸付先は答弁書の提出をせず第1回期日に欠席をしたことで、裁判所が請求を認める判決が出ました。
完全にY氏と貸付先は逃げていて、悪意に満ちた募集だったことを再認識させられる結果でした。
その後は集団訴訟に発展しましたが、2020年8月現在は裁判が難航し、虚偽の募集で実態がなかったファンドについては返済が完全に滞っているのが現状です。
現在裁判を起こしている方の差し押さえが完了すれば、それ以上の回収は困難になるでしょう。

管理人の総評多くの投資家が投資判断基準を引き上げる事件

トラストレンディングは公共事業を軸にした魅力的なファンドを募集し、財務省出身者が名を連らねることで投資家に信頼を与えていました。
主にY氏の仲介した案件に問題があり、実際に公共事業関連への貸付をしていたファンドもありましたが、貸付先の対応を見ると、最初から騙してファンドで集めた資金を横領する目的だった可能性が高いです。

私はトラストレンディングの事例を受けて、どれだけ魅力的な内容でも利回り10%以上の投資は危険だと判断しました。
また、非上場企業が運営していてい運営実績が2~3年程度のソーシャルレンディング業者は信頼性に不安材料があることを再認識しました。
トラストレンディング事件をキッカケに他社の応募状況を見ても高利回りファンドの募集状況が悪く、情報開示や保証の付いた不動産関連のファンドの人気が高まっています。

トラストレンディング公式サイトはこちら