ページ上へ

他社の不祥事とは異なるタテルの対応

運営会社のTATERUは不正発覚で株価が大暴落して、ソーシャルレンディングにも大きな影響を与えましたが、投資家への対応は素晴らしく中途解約の受付と継続運用の分配金、元本償還をしっかり行い大手の底力を見せました

TATERU Funding(タテル)の特徴
~不祥事で見せた大手の底力~

TATERU Fundingのスクリーンショット画像
商標名
TATERU Funding(タテルファンディング)
運営会社
株式会社TATERU
会社設立
2006年1月23日
サービス開始
2016年4月
資本金
72億8,600万円
累計応募額
38億円以上(2019年1月現在)
会員数
82,000人以上
平均利回り
3.0~5.0%
主要案件
不動産投資
最低単価
1万円~

TATERU Funding(タテルファンディング)は東証一部上場企業のTATERU(タテル)が運営するソーシャルレンディングです。
大手の保証付きファンドが評価され、利回りが低い中で投資家から人気を集めていました。

2018年5月に不動産投資物件を取得する個人投資家の銀行融資を受けやすくするために、預金残高改ざん・水増し、見せ金などの不正行為をしていることが明らかになりました。
不正が明らかになったことを受けて、同年9月4日に今後の新規ファンド募集を一時停止と10月から運用開始予定としていた3つのファンドの運用中止、中途解約対応などをアナウンスしました。

2019年1月28日現在、新規ファンド募集開始の予定は立っていません。
これまでソーシャルレンディングに関連した不正や不祥事、大規模遅延などのニュースは高利回りのファンドが中心でした。
手堅い低利回りファンドを中心に扱うタテルで大きな問題が発生したのは、ソーシャルレンディング業界に衝撃を与えるニュースでした。

2020年8月23日追記

TATERU Fundingの公式サイトは閉鎖され、募集再開をする可能性はなさそうです。

中途解約しなかった案件も遅延なく支払い

ファンドの新規募集停止や中途解約受付の案内をした2018年9月以降に中途解約せずに既存のファンド運用を続けた投資家にも、遅延なく分配金の支払いや元本償還を行われています。
著者は不正が発覚した時点でタテルには投資していませんでしたが、元本割れに関する口コミが見られませんので運用していたファンドを完済してサービス終了の形になったのでしょう。 タテルの不正は許されるような内容ではありませんが、結果的に不動産投資の投資家やソーシャルレンディングに応募した投資家のことはしっかり守っています。

融資先のビジネスにこれだけ大きなネガティブニュースが出たにも関わらず、ソーシャルレンディングの投資家が損をしていないのはポジティブな事例だと捉えています。
将来に渡って衰退を続けていく可能性はありますが、東証一部上場の大手への貸付は経営に大打撃を与えるネガティブニュースが出ても、破綻することは少ないようです。
タテルの事例を見て、同じく上場企業への貸付を行うLCレンディングへの投資を躊躇しましたが、その後の対応を見て貸付先や保証で大手が絡む案件は投資価値が高いことを再認識できる出来事でした。

不正前は大人気で応募が殺到していた

TATERU Fundingは不動産特定共同事業法を利用したクラウドファンディングサービスで、貸付をするのではなくファンドで集めた資金で取得した不動産物件の投資利益を分配するものです。
投資家だけのお金ではなく、タテルのお金も入っていて、損失が出た場合はまずはタテル(運営会社)が損失を被るルールになっています。
運用資金の3割までの損失はタテルが全額負担するルールになっているので、TATERU Fundingからの投資金で大きな損害を出すリスクが極めて低いです。

さらに、貸付型ではないので、応募するファンドで取得する物件の詳細(番地)などが公開される仕組みになっていて、東証一部上場企業の看板を含めて信頼性が高いソーシャルレンディング会社だと評価されていました。
利回りは不動産事業の中でも低めですが、仕組みが貸付型ソーシャルレンディングと異なり個人投資家のリスクが低いことで大人気になります。
ファンドごとの募集金額がそれほど大きくないことから、途中から会社員など副業投資家でも応募するチャンスを増やすために、抽選式を採用しました。
多いときではファンド募集額に対して5倍以上の応募が殺到するソーシャルレンディング業界屈指の人気業者でした。

管理人の総評運営会社の対応は高評価、今後は様子見

TATERU Funding(タテルファンディング)の不正には驚きましたが、株式投資や直接的な不動産投資よりもソーシャルレンディングの方が安全なことを象徴する出来事でした。
私は株式投資の経験がありますが、会社員だとザラバのニュースに迅速な対応をできないですし、ギャップダウンによる暴落は対処しようがなく、ネガティブニュースで大きな損失を出した経験があります。
ソーシャルレンディングは、タテルの保証付き案件だったこともあって投資家に一切の損失と遅延を出さなかった点を評価できます。

運営会社のタテルは不動産テック(不動産×IT)で急成長を遂げた歴史を持ちます。
シノケンプロデュースをライバル視する動きが強く、同業のライバル業者に比べて自己資本比率の高さや純資産の多さは非常に優れた数字でした。
保有していた株式の売却益でキャッシュフローがよくなった経緯もあります。
利回りが低くて抽選式の中で応募が殺到するのは、それだけの理由があることを意味しています。 現在はサービス終了してしまいましたが、上場企業へのマスターリース契約で手堅い運用をしたい場合は、CRE Fundingががタテルに変わる存在です。