
資本金と営業認可だけで信頼してはいけない
集団訴訟に発展したみんなのクレジット

業界最高水準の利回りの裏であった悪質な運営
みんなのクレジットは2016年4月にスタートしたソーシャルレンディング会社です。
2017年に2回の行政処分を受け、その後は新規会員の募集は停止をしています。
最高14.5%の高利回りを提示して、約1年の運営期間で45億円の資金調達を行います。
しかし、ファンドの多くは担保設定の虚偽、募集したファンドの資金が他のファンドの償還金に充当するなど嘘で固められた醜い実態がありました。
結果的に返済が滞るようになり、1回目の行政処分を受けた時点で運用中だったファンドの大半が長期遅延する事態に陥ってしまいました。
みんなのクレジットのその後
現在も新規会員の募集は停止していて、既存の投資家対応のみの運営をしています。
将来的に営業再開する可能性は低く、決着していないため会社を存続させている形です。
おそらく2018年の売上は限りなく0円に近いでしょう。
みんなのクレジットのその後を簡単にまとめました。
2017年4月 白石伸生社長辞任
2017年12月 貸付先のテイクオーバーホールディングス(代表・白石伸生)に起訴を提起
2018年2月 債権回収会社に債権を1億円で譲渡、投資家が集団訴訟の動きを加速
2018年3月 テイクオーバーホールディングスが「調整お見舞金」を支払い損失の補填することを発表
2019年2月 集団訴訟開始
2020年6月 全額支払いを命じる判決(東京地裁)
2020年7月~ 差し押さえ等の手続き中
約30億円の未償還分が債権回収会社に1億円で譲渡されているので、極めて深刻な状況です。
投資家が団結して集団訴訟の動きを見せると、テイクオーバーホールディングスが、調整お見舞い金を支払うことを発表しました。
これは集団訴訟をさせない目的で、調整お見舞い金を受け取るための同意書は投資家に不利な内容が多数書かれていました。
運営から資金調達まで一環して悪意のある詐欺行為で、白石元社長は刑事責任の追及もされています。
2020年8月には集団訴訟で原告が勝訴する判決が出ましたが、支払い能力を考えると取り返せるお金は限定的になるでしょう。
調整お見舞金の罠
調整お見舞い金を受け取る場合は以下の内容に同意する必要がありました。
集団訴訟を起こさない
調整お見舞い金が支払わなくても訴訟を起こさない
調整お見舞い金の支配期日は未定
調整お見舞い金などの金銭を受け取ったことを第三者に公言してはいけない
ルール違反があると調整お見舞い金の2倍の違約金を支払う責任が発生
調整お見舞い金の原資も不明で、明らかに悪意がある内容だったため、投資家は応じずに集団訴訟へ発展しました。
時間稼ぎや団結する投資家を分裂させる狙いで行った対応だと推測しますが、ネットでの情報交換が盛んな現代において、不利な要素が小さく書かれた同意書に騙される人はいませんでした。
管理人の総評歴史に残る詐欺事件 -
みんなのクレジットは第二種金融商品取引業と貸金業の認可を受け、資本金2億円の会社でした。
しかし、運営開始直後から詐欺に近い運営をしていました。
最初から逃げる用意があったのなら、失われたお金もどこかに隠されているのでしょう。ソーシャルレンディングが急成長を遂げていた矢先の出来事で業界に大きな衝撃を与え、私もここまで醜い結果になるとは思っていませんでした。
みんなのクレジット事件を教訓に、投資家はソーシャルレンディング会社の信頼性を調査して慎重な投資を行うように気を引き締めましょう。
