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経営支援を条件に緩い審査で貸付

軒並み高利回りのファンドしか扱わないソーシャルレンディング業者は、クラウドリースをはじめ、グリーンインフラレンディング、ガイアファンディングなどmaneoファミリーを中心にトラブルが相次いでいます。貸付先が複数社に分散されていても安心できません。

クラウドリースでも大量遅延発生!
試されるソーシャルレンディングの底力

クラウドリースのスクリーンショット画像
商標名
クラウドリース(CloudLease)
運営会社
株式会社Crowd Lease
会社設立
2015年10月
サービス開始
2016年2月
資本金
100,000,000円
累計応募額
159億円以上(2020年4月現在)
会員数
6,500人以上
平均利回り
5.0~12.0%
主要案件
小規模事業(店舗ビジネス)
最低単価
2万円~

経営支援も行うソーシャルレンディング会社

クラウドリース(CloudLease)は2016年2月にスタートしたmaneoファミリーのソーシャルレンディング会社です。
店舗型ビジネスを展開する中小企業に対して資金調達と経営支援をセットで提供するスキームを持っています。
これまでの豊富な経験を活かして、融資先のコンサル業務や動産調達のサポートを行うことで、貸し倒れリスクを軽減する取り組みをしてきました。
経営ノウハウを活かした独自の審査体制が評価されたことで、成長を続けてきました。
累計応募額は106億円以上の内、約46億円の返済実績を持ちます。運営事業者の資本金は1億円で信頼性の高いソーシャルレンディング業者として支持されていましたが、2019年1月10日に大量の延滞発生報告が行われました。

50億円の大量延滞発生中

2019年1月10日に複数のファンドで延滞が発生した旨が報告されました。
驚いたことに延滞の発生した貸付先は11社に及び延滞発生は運用中ファンドの約64%を占めます。
さらに2019年4月には運用中の全ファンドが遅延する異常事態に発展しました。

1月18日には各社の返済計画が発表され、初期対応は悪くなかったものの、その後は親会社のmaneoとも一時連絡が取れなくなり、2019年5月1日現在、maneoは書面での回答を求めた状態で話しが止まっています。
maneoからはクラウドリース社に対して裁判を起こす姿勢を見せていて、事態は泥沼化しています。
一部では、グリーンインフラレンディングを筆頭にmaneoファミリーの相次ぐ不祥事によって、管理体制が強化され、運営事業者から借り手に貸し剥がしをしたことがトラブルの起因とする意見もありますが、現状は不誠実な対応をしているのでクラウドリースの運営に問題がありそうです。

遅延状況一覧

貸付先事業者(事業内容) 遅延額 返済計画
C社(アミューズメント事業) 462,971,606円 事業継承で営業開始見込み、収益性拡大の見通しで早ければ4月末より投資家に分配
FC社(アミューズメント事業) 356,523,202円 連帯保証人(LLP)、動産の差し押さえで回収、銀行融資の減額交渉を行う
JA社(アミューズメント事業) 158,464,291円 不明・調査中
ME社(アミューズメント事業) 222,234,105円 連帯保証人、動産の差し押さえで回収、ME社の事業継続を前提に事業収益から回収
PA社(アミューズメント事業) 198,920,720円 連帯保証人、動産の差し押さえで回収、ME社の事業継続を前提に事業収益から回収
SB社(アミューズメント事業) 241,388,369円 連帯保証人(LLP)、動産の差し押さえで回収、銀行融資の減額交渉を行う
TC社(アミューズメント事業) 375,000,000円 事業が継続されることを前提とした連帯保証人LLPからの回収、4店舗中2店舗の閉鎖検討など
TD社(アミューズメント事業) 186,000,000円 不明・調査中
DB社(不動産・設備賃貸事業者) 273,490,100円 連帯保証人(LLP)、動産の差し押さえで回収、4店舗中2店舗の閉鎖検討など
MC社(アミューズメント事業・他) 1,291,238,038円 一部店舗の売却・閉鎖を検討、リサイクル事業の資本提携を交渉など
EA社(アミューズメント事業・他) 120,000,000円 2月下旬に保安通信協会の試験結果を待ち審査通過後に販売開始となれば売却利益で償却できる見込み

2020年8月23日追記

2019年12月に一部のファンドの回収が行われましたが、回収できたファンドでも元本に対して30~50%程度ほど。大多数のファンドが現在も10%未満の回収率で停滞しています。
回収業務を行っている実態はありますが、ここから大きな進展は期待できないかもしれません。
公式サイトにて遅延状況の一覧を確認頂けます。


直近1年以上は高利回り案件中心だった

クラウドリースがサービス開始した当初は利回り5%~の案件が中心で、公式情報でも5~8%の利回りを表記しています。
しかし2017年10月以降の募集されたファンドの大半は10~13%の高利回りでした。
元本償還実績が増えたことで信頼性が高まりましたが、リファイナンス(借り換え)のファンド募集も多く、怪しい雰囲気が出ていたのは事実です。
いずれかのファンドで遅延や貸し倒れが発生する懸念を抱いていましたが、10社以上の借り手が一斉に延滞を発表したのは驚きです。
経営支援を行う条件で他社よりも緩い審査で貸付して、独自のノウハウでビジネスを成功させる自信があったのでしょう。

大口投資家が多かった

グリーンインフラレンディングの不適切運営を皮切りにmaneoファミリーの信頼が欠落し、資金調達が難しくなったガイアファンディングが全件遅延を起こすなど、ファンドの募集額が伸び悩むケースが増えています。
クラウドリースは1件のファンド募集が小口だったこともあり、延滞の報告および新規ファンド募集停止する直前まで満額成立を連発させていました。
最後に募集したウィンターキャンペーンローンファンド2018【第1弾】5号ファンドでは募集額505万円に対して12件の申込で早期満額成立しています。
投資申込平均金額は42万円で10万円未満の応募は12件中1件でした。
これまで高利回りの短期ファンドを中心に多数の元本償還実績を残したことから、大口のリピーターが多かったのでしょう。

管理人の総評早期かつ1%でも高い返済を期待

クラウドリースのファンドは大半が担保と保証付きでした。
しかし、不動産を担保にしたものは少なく、保証は借り手企業の代表によるものなど、価値が非常に低かったです。
売掛債権譲渡担保を中心にした貸付は怪しい要素が大きかったですが、リスクに見合った利回りを提示していると評価していました。
運用中の64%が同時に延滞発表する事態は予想外で、高利回りファンドしか扱わないソーシャルレンディング会社は信頼してはいけないことを再認識できました。

おそらく、スタート当初は実績がない上にライバルが相次いで参入して競争が激化したことで、低利回りのファンドでは資金を集めることができず、他社のソーシャルレンディング会社では扱えないような案件を中心に、経営支援を加えて高利回りで提供する路線にシフトしたのでしょう。
延滞発表後の初期対応は悪くないものの、運営会社にも複数の問題点があったと考えています。
まずは、延滞案件の迅速かつ好条件での回収・返済を行い、不適切運営ではなく全て借り手企業の問題で、遅延発生時は最大限の回収を行う運営事業者の責務を果たしてくれることを期待しています。

クラウドリース公式サイトはこちら