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歴代最大規模の貸し倒れが起こる可能性

maneoファミリーをはじめ、遅延や行政処分を伴うトラブルが相次いでいるソーシャルレンディング業界ですが、今後の回収見通しでもっとも厳しいのはキャッシュフローファイナンスです。この事例を勉強材料にして業者やファンドの選定を行いましょう。

キャッシュフローファイナンス

キャッシュフローファイナンスのスクリーンショット画像
商標名
キャッシュフローファイナンス(Cash Flow Finance)
運営会社
株式会社Cash Flow Finance
会社設立
2016年10月3日
サービス開始
2017年2月
資本金
30,000,000円
累計応募額
37億円以上(2019年1月現在)
会員数
4,000人以上
平均利回り
7.0~12.0%
主要案件
不動産事業、エコ事業、小規模事業
最低単価
2万円~

適切な審査を行っていなかった

キャッシュフローファイナンス(Cash Flow Finance)はmaneoファミリーのソーシャルレンディング業者です。
会社の規模は小さいですが、ソーシャルレンディングブームで安定した募集実績を残してきました。
不動産事業のほか、他社では扱わない小規模事業やベンチャー事業などの高利回りファンドを扱っています。

2018年12月に、元本償還の返済遅延が発生した旨が案内され、さらにmaneo社とのパートナーシップ協定において、確認するべき事項が見つかったことを理由に募集中のファンドを全件キャンセル、その後の新規ファンド募集を一時停止すると発表しました。
2019年になってからは、複数の事業で遅延が発生する事態に深刻化して、2019年2月8日現在、新規ファンド募集は停止したままです。
当サイトの見解ですが、ファンド募集の段階でハイリスクだと分かる事業内容のものが多く、貸し倒れリスクの少ない事業を厳選な審査をしてファンド募集するソーシャルレンディングの本質に沿わない運営をしていました。
運営会社に悪意はないですが、審査基準の低さから必然的に起こったトラブルだと言えます。

主な遅延状況
東京都葛飾区 不動産ローンファンド

募集ファンドのキャンセル、新規募集停止のキッカケになった遅延ファンドです。
飲食店事業を営むT社と長期賃貸契約を凍結した不動産の運用という、借り手と収益化が決まった不動産事業として魅力的な募集をしていました。
本件ファンド対象不動産を含む資産売却や新たな資金調達による回収を要請するとともに、担保措置による元金回収の検討を要請するとmaneoより発表されています。
問題は定期借家権なので不動産担保はなく、借り手のAH社の株式を担保にしていたことです。AH社の事業規模はそれほど高くなく、倒産してしまうと担保の価値は0円です。

感染予防技術向けテクノロジーファンド

2019年1月31日に第1回満期を迎えるファンドにおいて利息の支払いは確認できたものの元本の返済遅延が発生しました。 殺菌消毒機器の販路拡大事業への融資で、収益性が不透明で普及しなければ利益を挙げられない事業への投資です。 商品力がなければ資産価値や返済能力も期待できず厳しい状況です。 こちらも上記葛飾区不動産ローンファンドと同様にAH社の株式が担保に設定されています。

最新型コインランドリー開店支援ファンド

O社が開発したコインランドリーを購入し都内でコインランドリーの運営を行う事業です。
キャッシュフローファイナンスの主力ファンドの一つでしたが、多くの案件で元本償還の遅延が発生しています。
同様にAH社の株式を担保にした内容で、コインランドリー事業とAH社の財務状況のどちらが悪いのか分からないのが現状です。

さらに状況の悪化する可能性

キャッシュフローファイナンスは、2018年12月にキャンセルした14のファンドを含めて、2017年2月のサービス開始以降、548件のファンドを募集してきた実績があります。
全てが関連子会社のAH社への貸付になっています。
廃棄物をナノカーボンにするエコ事業をはじめ、収益性が不透明なベンチャービジネスも多数あり、多くのファンドで満期借り換えを繰り返してきた経緯があります。
AH社の親会社になるキャッシュフローファイナンスも大赤字を計上していて、maneoファミリーではあるものの、資本はmaneoとは別なので助けてくれる親会社や運営母体もありません。

事業の問題だけではなく、AH社およびキャッシュフローファイナンスの財務状況の問題もありそうです。
最悪のケースでは、全件遅延&貸し倒れに発展するリスクがあります。
大半のファンドで担保がAH社の株式なので、貸し手による回収が困難であれば極めて厳しい状況になってしまいます。

その後も複数のファンドで遅延が発生しました。
あまりにも遅延ファンドの種類が多く、運営会社の対応にも不誠実な面があります。
現在は利息のみ支払いがあり元本償還が遅れているファンドと、元利金の支払いが滞っているファンドで分かれています。
利息のみでも払う姿勢を見せるファンドは評価できますが、現在も厳しい状況が続いています。

管理人の総評話を発展させないことを願う

2018年末から2019年前半にかけて、ガイアファンディングの全件遅延などmaneoファミリーのソーシャルレンディング会社でトラブルが相次いでいます。
まだ解決していないグリーンインフラレンディングの件もありますが、数あるトラブル業者の中でもキャッシュフローファイナンスは不動産担保が少ないことから回収率が極めて低くなる懸念があります。
なるべく話を大きくさせずにソーシャルレンディング業界に悪いイメージを与えないことを願っています。

ソーシャルレンディングは担保や運営会社の信頼性が重要なことを改めて実感した大量遅延問題です。
株式を担保に入れるのは、LCレンディングも行っていますが、親会社が上場企業のLCレンディングとキャッシュフローファイナンスは株式の担保価値が全然違います。
キャッシュフローファイナンスに投資してしまった人には気の毒ですが、37億円以上の資金調達をできたのはソーシャルレンディングブームに乗っかって、知識の乏しい中で投資する人が相次いだからです。
今後は、運営会社や担保に信頼性がないファンドやソーシャルレンディング会社は資金調達するのが困難な状況に変化していくでしょう。