
ソーシャルレンディングの投資金のその後
不適切運営

悪徳ソーシャルレンディング業者では不適切運営が問題視され行政処分を受けた事例があります。
不適切運営の内容は次のものがあります。
集めた資金を募集要項以外のことへ横領(流用)
担保の内容を偽造する
適切な管理をしない
融資先ファンドの匿名化など、投資資金の使途や運用状況が公開されないことも多く、ルール上は不正をしやすい環境です。
現行の制度では、ソーシャルレンディング業者およびファンドを信用して投資するしかない状況です。
ファンドが不適切運営をしないか監視・管理・指導するのもソーシャルンレンディング業者の役割です。
ファンドの不正を発見しても、ソーシャルレンディング会社が新規募集案件を停止すると集客できなくなる理由で、ファンドの不正を知りながら見逃してしまった事例もあります。
遅延が起こらないと判明しない
ファンドの匿名化によって、ソーシャルレンディングの投資家は運用状況を全て見ることができません。
不適切運営が発覚したケースでは全て遅延が起こる状況でした。
内部告発がない限り、遅延なく支払をしている状況であれば、投資家側から疑ったり問題点を指摘する余地がありません。
結果的に多くのファンドが支払遅延の起こる状況に陥ってしまい、悪徳ソーシャルレンディング会社に集中投資していた人は損失や被害を膨らませてしまいます。
遅延が起こらなければ明るみにならないことも多く、行政処分を受けていないソーシャルレンディング会社も完璧な運営を行っている保証はありません。
今後はファンドの匿名化が廃止される見込みです。
みんなのクレジットが担保に関して誤解を招くような表記をして行政処分を受けた事例もあるので、今後は利用者を騙すような分かりにくい公式情報は減少していく見込みです。
不正流用や横領の詳細

過去に行政処分を受けたソーシャルレンディング会社の中で、不正流用や横領を含めて資金の適切な管理をしていなかった事例をまとめました。
maneoの場合
子会社のグリーンインフラレンディングで資金調達した資金を親会社のmaneoが資金を区分管理することなく1つの口座で入出金していた。
出資者に対して説明していたものとは異なる事業に資金を拠出した。
maneoはグリーンインフラレンディングのほかにも、複数の子会社を持っています。
親会社、子会社で分かれている場合、子会社として募った出資金は独立して管理しないといけない所を、親会社の一つの口座で管理していました。
これは、他の子会社のファンドでも同じ状況が起こっていたことが考えられます。
現在は業務改善命令が出たことから、資金を区分管理する問題は解決しているでしょう。
悪質なのは出資者に対して説明していたものとは異なる事業に資金を拠出したことです。
詳細は北海道での太陽光発電やスリランカでの水力発電事業への融資名目で年利11~14%で投資家を募集し3,084人から約130億円を集めた物の一部をグループ会社の増資など事前の説明と異なる目的に使いました。
本来募集した事業が嘘ではなく、不正流用の疑いを持たれているのは集めた130億円のうち約10億円程度と見られています。
おそらく、流用した当初は利回り通りの内容で返済できる計画があったのでしょう。
不正流用した結果、130億円のファンドの多くが返済遅延や元本償還も滞る状況に陥ってしまいました。
本来の投資先事業でうまく行かなかったのではなく、不適切運営をしていた資金の損失が圧迫している可能性があります。
もしかしたら、募集する時点でグループ会社の増資をすることが決まっていて、本来の募集していたファンドの事業では11~14%の利回りの計算が成立していなかった可能性もあります。
ラッキーバンクの場合
ファンドの不正を知りながら見逃して新規募集を続けていた
ラッキーバンクは経営者の親族であるW氏が運営する実態不明の不動産会社がファンドとして資金を集めていました。
投資家には都内に担保不動産があるので安心だと案内していましたが、担保価値は友人が簡易的な試算で出したもので、実際の評価額より大幅に少ないものでした。
担保の問題を金融庁から指摘されて、返済遅延が起こり多数の案件で元本の返済されない状況が起こりました。
ラッキーバンクは、身内だったことを理由にファンドの不正や不適切運営を知りながら新規募集を続けていました。
使途の詳細は未だに不明点もありますが、担保評価等の問題がありつつも、不動産投資事業での運用をしていた事実は確認されています。
ファンドの事業がうまくいかなかった時に早急な対処をすれば少ない傷口で収まったところ、ラッキーバンクの親族が運営する会社だったことから、事業が計画通りいかなくても、新たなファンドを募集して運転資金を調達する方法を取ったことで深刻な状況に陥ってしまいました。
当初の問題点で精算していれば、一部のファンドで元本が1~2割の損失を出す程度の傷で収まったかもしれません。
ラッキーバンクは親族の運営する会社に依存した運営をしていて、不正の発覚したファンドがなくなると新規募集できる案件がなくなってしまうことから、不正に加担してしまったのでしょう。
身内など特定のファンドに特化しているソーシャルレンディング会社は危険性が高いです。
急速に健全化するソーシャルレンディング業界

ラッキーバンクとグリーンインフラレンディングの不適切運営は、運営会社に悪意のある内容です。
maneoの資金区分をしない問題は法整備をしていないことや、maneoは証券会社としての実績がなく、ソーシャルレンディング専門会社としてスタートした経緯から、親会社の口座でまとめて管理しても問題ないと思ったのでしょう。
maneo及びその他のグループ会社については、現在も新規募集を続けて平常運行しています。
ソーシャルレンディングは匿名化などの特性から、まだ表に出ていない不適切運営があると思っています。
特にここ数年は参入業者が増えてきています。上場企業や証券会社で実績を残した業者は信頼できますが、中小規模のベンチャー系ソーシャルレンディング会社は実績ができるまでは慎重に検討した方がいいでしょう。
需要拡大によって、SBIやSAMURAIなどネームバリューのある大手が増えています。
不適切運営をしていた業者は深刻な事態に発展させないように早く問題点を解決してもらって、不適切運営の報道や行政処分のニュースが出てこないことを願っています。
ソーシャルレンディングは業者を含め成長途中で未熟なサービスです。
過去の事例からリスクを認識して、実績の少ない業者やファンドへの投資は慎重に行いましょう。