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貸付利率と運用利回りの差額で儲ける

ソーシャルレンディング事業単体で見て、利益を出そうとしている事業者と赤字でも資金調達でいればいいと思っている事業者がいます。決算や思惑、貸付先事業の本質を見極めて投資判断をしましょう。

業者の儲けは意外に少ない?

貸付仲介で発生する手数料

ソーシャルレンディング運営事業者の儲けは、主にファンドへの貸付額に対して年利1~3%程度の手数料です。
貸付条件によっては融資をする際に事務手数料などで借り手側企業から手数料収入を得ている場合もあります。
大手は今後の成長性と手堅いビジネスモデルに魅力を感じてソーシャルレンディングの運営を行っています。
中小規模のソーシャルレンディング会社は、事業単体の収益性だけではなくグループ会社の資金調達や事業拡大の相乗効果を目的に、決算上の収益を気にせずに運営しているケースもあります。

ソーシャルレンディングは仲介業

ソーシャルレンディング業者の利益仕組み図

国内では貸金業法によって個人が企業へ貸付をすることができないため、ファンドへの投資という形式を取っていますが、実質は貸付の仲介を行うサービス内容です。

借り手側企業に提示する貸付利率が10%だった場合、ソーシャルレンディング会社は投資家に対して2~3%の利益を差し引いた7~8%の利回りを提示します。
つまり、手数料として差し引く年利2~3%相当がソーシャルレンディング会社の儲けです。
仮に年間100億円を通年に渡って運用した場合、ソーシャルレンディンング業者の粗利は2~3億円程度しかありません。
そこから、運営費用やシステム開発への投資費用を差し引くと赤字になってしまうこともあります。

投資家に商品を提供して手数料を受け取る方式は、株やFXなどを提供する証券会社や仮想通貨の取引所に似ています。
しかし、インターネットを通じてシステム上で約定するサービスを提供するネット証券とは違い、ソーシャルレンディングはファンドごとに金融機関としての審査業務や営業活動をするため、ひとつの案件を扱うのに時間と手間がかかります。

主要業者の決算

大手ソーシャルレンディング業者の中で決算値を公表している会社の2017年3月期決算の情報をまとめました。

maneo
売上高 21.91億円
営業利益 3.44億円
経常利益 3.43億円
純利益 1.98億円
SBIソーシャルレンディング
売上高 13.95億円
営業利益 10.3億円
経常利益 10.3億円
純利益 1.42億円
オーナーズブック(ロードスターキャピタル)
売上高 17.69億円
営業利益 3.9億円
経常利益 3.4億円
純利益 2.14億円

全て純利益で黒字になっていますが、SBIソーシャルレンディングの場合、利益過剰金が5.1億円の赤字で事業としてはまだ投資段階です。
maneoはベンチャーキャピタルからの出資を受けていて、株式の上場に向けて財務体制の強化を行っています。
大手でも売上は10~20億円、純利益は1~3億円程度なので、大企業と呼べるほどの規模ではないですが、ファンドへの貸付をすれば貸し倒れリスクを背負うのは個人投資家になるので、ソーシャルレンディング事業は手堅く利益を出せるビジネスモデルです。

システムや運営基盤を作るのに費用がかかるビジネスモデルですが、仲介業の特性からファンドの数や運用額を増やすほどソーシャルレンディング会社が儲かる仕組みです。
すでに黒字化をしている上記の3社は今後の成長を期待できます。

このほかにも、ソーシャルレンディング部門単体の決算値は出していませんが、公共事業関連を手掛けるトラストレンディングの運営会社「エーアイトラスト」は2017年3月期決算で5期連続黒字、純利益は前年から5倍の約5千万円に増やす成長を遂げています。

赤字会社も多い

決算やソーシャルレンディング部門単体の数字を公表しているところは少なく、実績の乏しい会社は運営コストが負担になり赤字になっている業者は少なくないでしょう。
将来的な黒字化を目指している所だけではなく、赤字でも資金調達できれば良いと考えている業者もいます。

たとえばLCレンディングは上場会社でもある親会社のLCホールディングス関連への貸付がメイン業務です。
LCホールディングスは銀行融資ではなく、子会社の運営するソーシャルレンディングによってスピーディーに資金調達することで本業の売上増加や事業拡大に貢献しています。
ほかにも不動産事業や金融業を手掛ける会社がソーシャルレンディングの子会社を作って運営しているケースも多く、資金調達を自社グループで行うことで本体の売上を伸ばすことを目的にしている所が多数あります。

利益を出している会社の方が無難

利益を出すソーシャルレンディング会社イメージ

ソーシャルレンディングの運営事業者は利益を出すことだけを目的にしているとは限りません。
決算を公開している業者は少ないですが、幅広い分野で多くの案件を扱い、事業規模を広げて利益を出そうとしている会社は全般的に信頼性が高いです。
グループ会社や提携会社による資金調達で相乗効果を狙っている所は、適正な審査をせずに身内には甘い対応をする不正をした事例もあります。
LCホールディングスのように、借り手が自社グループでも上場企業の大手であれば信頼できます。
利益や決算状況が全てではないですが、ソーシャルレンディング事業単体をビジネスとして捉えて事業規模を拡大させようと努力している会社は健全な審査と運営をしている可能性が高いです。
利益にこだわっていない業者は、事業の本質や保全、信頼性などをチェックした上で投資判断してください。